万引きしても捕まらないときがある?

万引きしても捕まらないときがある?

皆様、時効(じこう)という制度のことはご存知でしょうか。

時効とは、一定期間が経過することで、権利を取得したり、義務が消滅したりする制度ですが、ここでは、大きく2つにわけて書いてみたいと思います。

1.刑事事件に関する時効(公訴時効)

公訴時効とは、犯罪をおかしてから一定期間が経過すると、検察官が犯人を起訴すること(訴えること)が出来なくなってしまう制度です。

例えば、コンビニで漫画を万引きした場合、これは窃盗罪という罪に該当しますが、万引きをしてから7年経過すると、もはや警察官に捕まったり、検察官に訴えられたりしなくなります。

※刑法235条(窃盗)・刑事訴訟法250条(公訴時効期間)


https://www.fashion-press.net/news/36215 から画像引用

2.民事事件に関する時効(消滅時効・取得時効)

取得時効とは、一定の期間の経過をもって、権利を取得することができる制度です。たとえば、自分の家の隣の土地を、隣地所有者から何もいわれることなく 10年あるいは20年間使い続けていた場合、隣地の所有権を取得することができる場合があります。

消滅時効とは、一定の期間の経過をもって、権利・義務が消滅する制度ですが、消滅する権利・義務の種類に応じて、その期間が異なります。

(1)お金の貸し借り

個人同士のお金の貸し借りの場合、弁済期(お金を返さないといけない期限)から10年経過すると、借りた人は、お金を返さなくてよくなります。

借用書があっても結論は、変わりません。

例えば、AさんがBさんに1年後に返してもらう約束で100万円を貸して、Bさんに借用書を書いてもらいました。

1年後になってもBさんが返してくれないため、Aさんは1年に1回のペースで返済の催促していましたが、3年経過した頃に、Bさんの行方が分からなくなりました。

それからさらに8年経過したある日、道端でBさんを見かけたAさんは借金の返済を求めましたが、Bさんから「消滅時効だよ。」と言われ、返済を拒否されました。

※民法166条(消滅時効の進行等)・167条(債権等の消滅時効)・587条(消費貸借)

(2)交通事故の損害賠償

例えば、ある日Aさんが横断歩道を歩いているときに、Bさんの運転する車にはねられて怪我をしました。

軽い怪我だったので、かかった治療費は払うとのBさんの言葉を信じ、AさんBさんともに保険屋さんには連絡をしませんでした。

しかし、Bさんはいくら催促しても、「もう少しだけ待って欲しい。」の一点張りで、事故のあった日から3年が経過してしまいました。

それ以降、AさんがBさんに何度治療費を請求しても、「もう時効だよ。」と言われ、拒否されます。

※民法724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)


自分の権利や義務が時効にかかっていないかをチェックするのはもちろんのこと、時効という制度がなぜ存在するのかを考えてみると面白いかもしれません。

税金の時効に関しては、またの機会に書きたいと思います。

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